エンジン組み立てのご依頼(K様(2)のAB27エンジン組み立て vol.1)

 弊店ではエンジンの分解および組み立てをお請けしています。今回からまた、新しくお引き受けしたエンジンのご紹介です。

 本来は組み付け作業なのですが、ただ単に分解して組み立てするだけではなく、お客様とお話合いのうえ、いままでカブ系エンジンを中心にさまざまな部品のテストを重ねてきた経験をいかしたご提案を含めて、お好み沿った仕様を決めて、できるだけご希望に近いエンジンを製作しています。

 2015年の後半くらいから体制が変わりましてエンジンのメンテナンスに時間が取りにくい状態で、お時間を頂戴しますが、こちらでの作業を見ていただいて、ご納得の上でご依頼をいただければ、うれしく考えています。

 今回は写真を中心に上げて、コメントは後から気づいたことを追加していくつもりです。そのため、考えていたこと気付いたことと多少ずれるかもしれません。

 それではご紹介を進めてまいります。


 今回はモンキー(AB27)のエンジンです。クラッチ回りと腰上を中心のご依頼です。


 届いたエンジンをチェック中。こちらでお預かりした状態で、きれいに洗ってくださっていました。わたしがモンキーに乗り始めの頃は、もっともっと汚い状態でも綺麗に洗ったと自分だけで満足していましたが、お客さまはみなさん丁寧に乗っていらっしゃると思います。


 洗油で洗いましたがあまり変わりません。合わせ面の砂汚れなどは落としましたが、そんなに多くありませんでした。

 この時点でいろいろ見て段取りも考えていて、今回はクラッチのガスケットが変わっているなとか、ねじの錆び具合が普通とは違うから入れ替わっているかも、などなど見ています。

 もちろん予想なので間違っていることもありますね。ところが面白いことに、おかしいと感じたことは、ほとんど後で理由がわかるものです。


 今回は作業台にセットします。やはり慣れないうちはきちんと固定されているほうが作業を進めやすいです。被対象物が動いてレンチを滑らせてしまい、部品に傷を付けてしまうなどのトラブルも、固定しておけば激減します。弊店の作業ではできるだけインパクトツールを使いたくないこともあって、作業の時には普通のお店さんよりもきちんと固定しています。


 クラッチ側の分解を進めています。やはりクラッチカバーはもちろん本体の取り外し歴もありそうです。液体ガスケットが使われていたので、ガスケットを再使用した良くないパターンかと思いきや、ガスケットも新品に入れ替えられているようですし、作業も丁寧でした。

 ただ液体ガスケットはエンジン内側にガスケットが落ちやすく、しかもそれを確認できませんので、弊店ではよほどのことがない限り液体ガスケットは使いません。フライスをかけるなどの加工をしたり、ガスケットや薄い金属板を組みあわせて工夫するなどして、寸法を合わせたり機能を満たすようにします。このあたりは経験や好みでしょう。といいながら、わからないくらいごく薄く液体ガスケットを塗っているポイントはあります。


 見た目に悪いですがノックピンがこうなっても問題はありません。こちらのノックピンは入れ替えておきましょう。

 今回のエンジンはねじ山にも液体ガスケットがついていました。そちらも組み付け時は問題はありませんし、ねじ山はガスケットを取って掃除していおきました。問題となるのはねじ山のほうで、ガスケットに限らず異物を残したままですと正しい締め付けトルクをかけられませんから、ここの掃除は重要です。ところが中の見えない奥まったところに付着した液体ガスケットは取れにくくて手間がかかります。


 どんどん分解していきますと、どうやら水が入っているのが見えます。クランクケース左下などに分離している水が見えるでしょうか。


 クラッチ内部に入った水はエンジンオイルと混ざって混濁というか乳化していますね。分解しはじめのときには、降ろしてから空気中の水分が結露したものなどかと思ったのですが、この状態になっているようですと、エンジンが動いていたときに混入したものでしょう。念のため後ほどクランク端面からオイルを圧送しておきます。


 クランク右側は、ねじのゆるみ方向のナットですので、ゆるみ止めがかけられています。このロックナットにゆるみ止めワッシャがうまくかかっていません。しかもロックナットの締め付けトルクはあまり高くありませんでしたが、ゆるみ止めの爪の位置関係から見ても、緩まなかったようです。このくらいの締め付けトルクでも大丈夫だとは意外でした。


 クラッチを外してオイルポンプも外しました。今回のご依頼はクラッチと腰上ですので、分解はここまでで終わりです。洗える範囲になりますが内部の汚れやオイルを飛ばしておきました。


 今日の作業はここまでにします。


 お疲れさまでした。また明日まで、おやすみなさい。