N様(2)のHA02エンジン組み立て vol.6

 前回からの違いは立春が過ぎたことでしょうか。立春は一日だけではなく期間らしいですが。立春を迎えても底を打った感のない寒い中で、という定番のような話になりますが、みなさんはお変わりなくお過ごしでしょうか。弊店のワークショップは、昼はそこそこですが夜は寒いので、ついそういう言葉が出てしまいました。

 部品の取り寄せに時間がかかって今回も前回の記事から時間があいてしまいました。組み替えたミッションまわりの部品が納得いかず、取ってみては間違いだった、という試行錯誤です。これを3回ほど繰り返していました。そんな積み重ねでデータは取れましたのでもう大丈夫でしょう。



 シフトドラムの細かな部品、ストッパー、アームなどドラム回りを組み、軽量ドリブンギアを組みつけていきます。オイルポンプもこのあたりです。実は今回もまたポンプの駆動軸を組み忘れて再度組みなおしました。気を使うミッションだとそちらに気を取ら過ぎてしまいます。


 クラッチを止めるクランク回りの部品ですが、手前の2個が面白いと思って撮っておきました。長期間(長距離)の使用のためか、前回の組み付けトルクのためか、そのほかの理由かもしれません。このあたりの組み付けトルクにおかしなところはありませんでしたので不思議です。


 「OUT SIDE」と入っているワッシャには表裏があります。このワッシャは平面ではないためですが、どうやら潰れていそうなので、換えておきました。回り止めワッシャはもちろん新品に交換します。

 単純に単体で組んだクラッチは、この後に小さな問題に気付いたので調整しなおして組みなおすことになります。


 ロックナットを止める時にインパクトレンチを使いたくないので、いまはクランクに回り止めをかけて止めるのが最良だと考えています。反対側をホルダーで固定して止める方法は、捩じれと保持のしにくさによるトルクのぶれが嫌で、あまり使いません。回り止めによる歪みを計測してみたことがありますが圧入が緩んでいないクランクなら無視できます。


 いまはクラッチアウターカバーのベアリングも全車で交換しています。この箇所はクランク直結ですから高回転になりますし(エンジンを回しすぎると許容回転数枠外に超えるはずです)、クラッチを切る時にボールベアリングのラジアル方向に力をかけるので(小さい荷重ですが)気持ちよくはありませんし、だからなのか稀に音の出ているベアリングがあります。単体でチェックすると明らかに回りの悪いものもあります。

 OH前のクラッチは、ドライブプレートを止めているねじのワッシャの位置が悪くて、カバーが少し浮いていたかもしれません。単純にねじの痕に合わせて組んだのですが干渉したので、今度はクラッチアウターカバーとガスケットを合わせながら組み直してあります。前記の小さな問題とはこれのこととです。写真はまさに調整が終わったところ。


 ノックピンには固着防止のペーストを塗布します。ドリブンギアが薄いのは見えるでしょうか。オイルポンプも吐出容量の大きなものに換えてあります。このあたりすべていつも通りですので面白くありませんね。


 リフタープレートに段付きがでていたので交換しました。ドリブンギアの上に載せている部品です。目立って見えるだけで実際には摩耗による段差は深くはありません。足で操作する部分なので、とくにわからないくらいのフィーリングと作動の悪化くらいでしょう。まだ使えますが、これからまだ更に乗られることを考えて換えておきました。
 

 さて、忘れ物はないでしょうか。要所要所にオイルも塗って入れています。


 ガスケットはクリーム色の純正品です。わたしが本格的に分解を始めたのは青緑色のころでしたが、もうこのクリーム色が普通に感じるようになりました。この色のものはインドネシア製が多いでしょうか。気のせいか以前の青緑のものよりも締め付けトルクが少し逃げるような気がします。トルクを掛ければ掛かるのでそれは問題ではありません。


 さてカバーがつきました。カバーを止めるねじにも、ノックピンと同じように固着と錆を防ぐためアンチシーズで処理してあります。そのためねじを外すと汚れているように見えますが、そういうものですので。

 クラッチ調整はまだです。ちょっと変わっている気がします。この後でしておきましょう。


 次回で組み付けは終わるかと思います。それでは。